=ご来店頂く前に私どもから皆様へのメッセージです=

●オーダーメイドの知っていただくために

男性の着るスーツは、ビジネスという戦場で闘うための武器であると考えると自分の「体に合っていて美しく」なければいけません。
人間の体型はひとり一人全て違います。体の厚み、幅、筋肉の付き方など千差万別です。ところが既製服は、統計上多数が占める大きさを、サイズとして決めて作っている(A5・B5等)ので、どうしてもフィットしきれない部分がでてきます。

「サイズ直し」では、袖丈、ウエスト、パンツ丈は調整できますが、この部分は『スーツの着心地』にとってさほど重要ではありません。
オーダーメイドの醍醐味は、着る人が自分でデザインすることにあります。テーラーの描いた姿になるのではなく、着る人自身がデザイナーになって頂くことにあります。
私たちはそれを、技術的にお手伝いするだけなのです。

スーツのデザインは、衿幅・衿形、衿の長さ、ボタンの位置と数、ポケットのデザイン、ベンツの有・無や位置、パンツの丈と幅、など婦人服に比べると、あまり多くありません。 生地の色・柄、などをお好きなように選んで頂いて、体に「程よくフィットしてしかもバランス良く」作り上げていくのが注文服なのです。 お客様の体型に合わせて型紙を起こし、布地をカットしますから、体の動きに合った、着やすい洋服が出来ます。人台に着せてあって綺麗なのは、着やすい洋服ではありません。「動いて楽であり美しいこと」が大事なのです。

男のスーツは肩で着る、と言われますが『肩の支点と上着の重心』が着心地を決定します。支点に重心が合っていると、軽く感じるものなのです。肩廻りが体に合っていないと、その部分が肩先に当たって着難いばかりでなく引っ張られてシワができるのです。(ツキ皺・タスキ皺等、テーラーが最も避けなければならない技術的問題)型崩れの原因にもなります。

お客様に最適で美しくバランスの良い「長さと巾」・「ゆとり量」を計算して設計(カッティング)、「型崩れ」の無いように丁寧な縫製、そしていつまでもお召し頂けるようにアフターサービスに心掛けて長いお付き合いを願ってお作り致しております。

●オーダーメイドは手間ひま掛けて″作ります

(1)生地選び
先ずどういう場合に着るスーツかお聞きします、大事なビジネスの時に着用する、何かの行事に着る、など具体的にお話してください。お話しながら、お客様の日常生活や動作の癖、お好みなどをさりげなくお聞きして、得られた情報をもとに服作りをしてまいります。
こういうやり取りを「ビスポーク(BESPOKE)」といいますが、「話しかける」という意味から発して、現在では「注文服・誂え服」を表わす英語になっています。(BESPOKE−TAILOR)

イメージを伝えるのに、雑誌の切り抜きや、今まで着ていたお気に入りのスーツを、お持ちください。
「こういう感じ」と見せて頂くだけで、私ども技術者は分かります。
映画のワン・シーンで、「トム・クルーズやマイケル・ダグラスが着ていたあれ」でも、分かります。出来るだけ具体的に伝える努力をする、これはお客さまの説明義務かもしれません。

お客様お好みの生地の現物が、店舗ない場合があります。生地があれば、実際に肩にあてて鏡に向かって立って『映り(お似合いの具合)』を確認することができます。
生地を置いていない場合、あるいはサンプル・ブックから選んでイタリアや英国に発注する場合には、生地が入荷次第ご連絡してあらためて見て頂きます。

(2)採寸
お客様の体の各部を測って、その数字から型紙を起こして、生地をカットしますのでとても重要な工程です。
採寸のためには、Tシャツやセーターではなく、スーツに欠かせないワイシャツをお召しになってご来店下さい。肩廻りや首回りのフィット感ユトリ量などを計算・調整するために、大切な要素なのです。
採寸箇所は、当店では私が研究しました独自のシステムで30箇所を超える個所を採寸のしますが、この段階でこれなら安心して任せられる″というお客様もいらっしゃいますが、念入りに採寸させて頂いております。
いわば病院のカルテともいえる大切なものですので型紙とともに、お客様ひとりひとりに分けて、大切に保存いたしております。

(3)仮縫い
ご注文を頂戴して約1週間〜10日位で、お仮縫いになります。型紙を置いて生地を裁断し、仮り止めの状態に縫い合わせて『仮り縫い』のための洋服を作ってまいります。出来上がりましたらご来店頂きまして「お仮縫い」をさせて頂きます。ワイシャツをご持参ください。
これは我々テーラーのための作業なのですが、お客さまには鏡の前に立って頂き、この段階で出来上がりのイメージを一緒にご相談しながら決めてまいります。

この工程の後、いよいよ『本縫い』に進みます。

(4)本縫い
当店ではお客様ごとにに違う体型に合った「芯」を服作りの最も重要な要素との考えから、全て『自前』で作っております。熟練の職人さんたちなのですが、お客様のお好みをお伝えしながらいつまでも「型崩れ」しないように細心の注意をはらって製作しております。

(5)出来上がり
仮縫いからひと月程度で、ご注文いただきましたスーツが完成します。
しかし、私たちは完成は終わりではなく「スーツとのおつきあいの始まり」と考えております。1着のスーツが出来ると、フィット具合はどうか、シーズンごとの手入れはどうか、など気にかかることが多く出てきて、お客様とのお付き合いが一層深まるからなのです。注文服は短くても10年は着て頂きたいと考えており、長いお付き合いが始まるのです。
<店主からのお願い>
初めてご来店くださるときは正確な採寸をするためにオープンシャツやセーター及びGパンは避けてワイシャツと普通のズボンでお出かけくださいますようにお願いします。
一番の「お気に入り」の背広をお持ち頂きますと参考にさせていただきます。